雇止めより無期転換後の労働条件を考えよう

いわゆる無期転換ルール。労使ともに誤解している部分も見受けられる。雇用期間が1年の契約社員の場合、実際に無期雇用に転換するのは早くて2019年4月1日からだが、無期転換後の労働条件は、転換権を行使して新たな労働契約が成立した時点で確定する。従って、無期転換後の労働条件を新たに定めたいならば、対象の契約社員が転換権を行使する前に、就業規則の改定をしておく必要がある。転換権が行使された後だと、いわゆる不利益変更の問題が生じうるからである。なお、見落とされがちだが、雇い止めを検討している事業者は労働契約法19条の雇止め法理に留意する必要がある。契約社員の雇止めの難しさは、正社員の普通解雇と大差ないと考えておいた方が無難だろう。そうすると、いかにして2018年3月31日で合法的に雇止めするかを考えるより、2019年4月1日からの無期労働契約の労働条件をどうするかを考えるべきではなかろうか。特に、超売り手市場で人手不足の業種では、無期転換後の労働条件をどのように設定するかが、生き残りのポイントになるように思われる。

 
 
 
2017年11月15日 | カテゴリー : 労働 | 投稿者 : MasterT

長澤運輸事件についての雑感

労働者勝訴の地裁判決が話題になっていた長澤運輸事件について、高裁で会社側勝訴の逆転判決が出ました。判決文の詳細が不明なので、報道記事等で明らかになっている範囲で考えると、いわゆる「同一労働同一賃金原則」について、雇用継続の高年齢者についての例外を認める道を開くことになるかもしれません。ただ、無期転換ルールのように、例外として認めるための条件を法律で明確にする必要があろうかと思います。上告審の判断が待たれるところです。なお、今回の判決は事例判断に過ぎないので、再雇用高年齢者について賃金の減額が当然に認められる訳ではないことに注意しましょう。

2016年11月5日 | カテゴリー : 労働 | 投稿者 : MasterT

外国人技能実習生制度をご存じですか?

外国人技能実習生制度はご存じですか?
昨今、この制度の悪用事例が取りざたされ、制度の見直しが検討されているようですが。
この制度では、適正に運用されるように受け入れ団体等には、技能実習生に対して、予め所定の法的保護講習を行うことが義務づけられています。
具体的には、日本の労働法、社会保険法、入管法の基本知識を技能実習生に教えることで、技能実習生が安心して技能の習得に専念できるようにしようというものです。
先月、久々に法的保護講習の講師をしてきました。実習生は中国から来日した若者でした。とても礼儀正しく、気持ちよく講義できました。事故などなく無事に技能を習得できるよう願わずにはいられません。

 

改正労働者派遣法の説明会に参加しました

安保法制の審議で国会が荒れる中、労働者派遣法の改正法がひっそりと成立し、先月30日から施行されました。施行日の翌日に、労働局主催の派遣業者向け説明会に参加してきましたが、200人近くはいたようで、大盛況でした。労働者側からの強い懸念が報道などで伝えられていますが、派遣元も派遣先も安穏としてはいられない改正と思います。早め早めに社労士を活用しましょう。

 

2015年10月13日 | カテゴリー : 労働 | 投稿者 : MasterT

労働基準法改正の見送りはチャンス

労働基準法改正は今国会では見送られる見込みとのこと。
ストレスチェックやマイナンバーへの対応にてんてこ舞いの企業も多いことからすると、十分に準備する時間ができたと言う意味では、良かったのではないかと思われます。
労働者の健康への配慮、あるいは職場の活力アップという点では、今回の改正はストレスチェックの導入とも深く関係するものです。ですので、ストレスチェック対応と併せて対策を練るのも一つの手かも知れません。

2015年8月27日 | カテゴリー : 労働 | 投稿者 : MasterT

全従業員の労働時間管理を見直しましょう

先日、労働基準法改正法案の対策セミナーに参加してきました。
安保法制案や年金機構の情報流出問題の影響で成立が危ぶまれています。しかし、会期が大幅に延長されたので今国会で成立する可能性が高いと思われます。改正法案の最大のポイントは、労働時間の管理に関する使用者の義務が強化されることです。「残業代ゼロ法案」というレッテルに惑わされると、後々で未払賃金問題や過労死問題が起こりかねません。今のうちから、管理監督者も含め、全従業員の労働時間管理を見直しましょう。

2015年6月25日 | カテゴリー : 労働 | 投稿者 : MasterT